個別株投資は、広大な金融市場の中でも局地戦です。投資機会を活かすためには、市場全体の動きやマネーの流れを把握しておくことが、個別株物色においても欠かせません。
5月14日の東京株式市場で、日経平均株価は前日比55円安の38,128円と5営業日ぶりに反落。朝方は米ハイテク株高の流れを受け、寄り付き直後には一時140円超上昇する場面もありましたが、4連騰後の高値警戒感や円高進行が重しとなり、次第に上値が重くなりました。
38,000円台回復には、米中間の関税緩和合意が大きく寄与しています。両国は90日間の期間限定で相互に関税を引き下げることで合意。米国は中国製品への関税を145%から30%に、中国も米国製品への関税を125%から10%に引き下げました。この動きが世界経済の不透明感をやや後退させ、日本市場でも輸出関連株を中心に買い安心感が広がりました。ただし14日は、円高が企業業績の重石となり、利益確定売りが優勢に。
今後は、関税緩和の効果が持続するか、米中交渉の行方や為替相場の動向、企業決算が焦点となります。これまでの好材料をおおむね織り込んだ現在、投資家にとっては次の材料を見極めつつ、相場の方向性を探る局面に入っているといえます。