日経平均続伸も、物色人気は中小型株!グロース市場活況も過熱感に警戒

 

個別株投資では、景気や経済、政治、為替、金融政策など、マーケット全体の動向を把握することが不可欠です。これらの要因は相互に影響し合い、投資家心理や短期マネーの流れに影響を与えています。投資機会を活かすためには、こうした外部環境や市場心理をしっかりと理解することが、物色トレンドを見極めるうえで非常に重要です。

 

東京株式市場は、為替市場での円安進行や米中交渉の進展期待を背景に、投資家のリスク選好姿勢が強まり、日経平均株価は続伸しています。特にきょうは、半導体関連や輸出関連の主力株が買いを集め、全体としては堅調な地合いとなりました。為替市場ではドル円が145円台まで上昇し、円安による企業業績への好影響が意識されたことで、外需企業を中心に買いが優勢となりました。

 

※ 日経平均の日足

 

ただし、日経平均の値動きを冷静に見ると、37,000~38,000円台でのボックス圏推移が続いており、明確な方向感は見えづらい状況です。続伸したとはいえ、依然として38,500円付近には5月以降、戻りの上値抵抗が存在しており、ここを明確に上抜くまでは、本格的な上昇トレンド入りとは言いがたい状況です。現時点では、外部環境の改善による安心感が支えとなっているものの、テクニカルな節目を超えるにはもう一段の材料が必要です。

 

その一方で、市場の物色意欲は、指数の動きが限られる大型株から、より値動きの軽い新興市場の中小型株へと向かっています。特に個人投資家が主体となる東証グロース市場では、年初来高値を更新する銘柄が数多く見受けられ、個別材料を手掛かりとした積極的な売買が目立ちます。背景には、個人投資家による根強い投資意欲があり、テーマ性や話題性を持つ銘柄への資金流入が続いていることから、資金の循環も良好な状態が維持されています。

 

※ グロース250指数の日足

 

こうした流れは今後も注目に値しますが、一方で、活況が続いていたグロース市場については、足元で過熱感が高まりつつあり、目先の天井を示唆する複数のサインが確認されています。特に短期的に急騰した銘柄に対しては利益確定の動きが出やすくなっており、一旦の天井形成に対する警戒を強めておくべき局面に差し掛かったと認識しております。

 

今週は、米国での5月消費者物価指数(CPI)の発表と、FOMC(連邦公開市場委員会)の金融政策決定が予定されており、市場への影響は大きいとみられます。政策金利は据え置きが見込まれるものの、今後の利下げペースやインフレ見通しに関するFRBのスタンスが改めて注目されており、結果次第ではグローバルな株式市場の流れが変わる可能性も否定できません。そのため、東京市場も明日以降は様子見ムードが広がりやすく、きょうのような上昇基調が続くかどうかは不透明感を伴うことになりそうです。

総じて、現在の東京市場は外部環境の改善を受けてリスク選好が進んでいるものの、日経平均はテクニカルな上値の壁を突破できておらず、グロース市場では過熱感に対する警戒も必要な段階にあります。今後は、米金融政策の方向性を見極めながら、個別銘柄やテーマ性のある分野への選別投資がカギを握る展開となるでしょう。