ヘリオス(4593)
2025年7月25日の終値は678円(-35円)となっています
ヘリオス(4593)は足元で強い値動きを見せており、7月に発表された複数のIRや公的支援決定を受け、短期資金の動きが急速に強まりました。中でも、経済産業省による約70億円の助成金採択や、eNK細胞に関する学術的評価の高まりといった将来性への期待を強める材料が続いたことで、株価上昇の直接的なきっかけとなりました。
業績に直結する材料ではないものの、成長テーマの中核を担う同社は投資家の注目を集めやすく、投機筋が仕掛けやすい環境が整っていました。
ヘリオス(4593)は、iPS細胞を活用した難病治療薬の開発を主力とするバイオベンチャー企業です。住友ファーマとの共同開発や、ニコンとの業務提携などを通じて研究開発を進めています。また、この銘柄については、弊社の有料レポートにおいて2025年4月下旬、株価300円付近の時点で取り上げた経緯があります。その際には、投機系ファンドが相場に関与している案件として注目しました。
ヘリオス(4593)は、創薬系バイオベンチャーとして長年注目されてきましたが、黒字化の目処が立たない中で株価は急騰し、2025年1月の200円台前半から7月には700円台まで上昇しています。これは業績やPERとはかけ離れた動きといえます。
再生医療やiPS細胞など医療イノベーションへの期待が高まり、テーマ株として再評価される場面が増えています。さらに、浮動株の少なさと値動きの軽さもあり、短期筋にとって魅力的な対象となっています。
※ ヘリオス(4593)の日足
今年のヘリオスは、年始から上昇と調整を繰り返しながらも、全体として一貫した上昇トレンドを形成してきました。その過程では、典型的な仕掛け型相場の特徴が見られ、一定のロットを保有する投機系ファンドが、「事前の仕込み→価格急騰→個人投資家の参入→高値圏での売却」といった流れを意図的に演出していたと推察されます。また、これらの投機筋は単発的な売買にとどまらず、1月から3月の調整局面で先行して仕込みを進めたうえで、段階的に株価を押し上げる“段階構築型”の戦略を採用していた可能性が高いと考えられます。
実際、3月下旬から4月初旬にかけて、需給の緩みを狙って投機筋が先行的に買い進めた痕跡があり、6月の出来高急増局面では、彼らの持ち株を高値で回転させる動きが繰り返されたと見られます。
これまでの上昇は業績に見合わない水準ですが、需給とテーマ性がかみ合っている限り、相場は続くと見られます。ただし、このトレンドは投機筋の資金によって成り立っており、これら投機性の高い資金が抜ければ急落するリスクも高まります。
現在の株価は過大評価との見方が多いものの、出来高の多さや値動きの軽さを背景に、短期筋には依然として魅力的な銘柄です。特に7月中旬には723円まで上昇し、その週の出来高は1億3000万株超に達するなど、短期資金主導の動きが続いています。
今後の展開は、700円前後でもみ合いながらも乱高下しやすい局面が続くと見られます。750円台を試す場面もあれば、一気に600円台前半まで調整するリスクもあり、材料次第では中期的に大きく水準を下げる可能性もあります。
この銘柄は中長期の保有には向かず、短期的な需給を前提としたトレーディングが基本です。トレンドが継続している間は、こまめな利益確定を繰り返す回転売買や、相場の流れに応じて利確の目安を調整する柔軟な売買判断が有効です。投機筋の資金流出の兆しが見えたタイミングでは、迷わず撤退を判断する姿勢が求められます。
弊社では、個別材料株を取り巻く多様な市場環境を踏まえ、今後の相場展開において有望な短期投資チャンスを的確に捉えることを目指しています。収益機会を最大限に活かすべく、すでに今後急騰が見込まれる銘柄を複数選定し、継続的に動向を注視しています。
また、これまで物色の中心となっていた銘柄とは異なる、新たなテーマや資金の流れに沿った銘柄群が台頭してくる展開も十分に想定されます。こうした短期物色に適した注目銘柄については、今後も弊社の有料レポートにて、詳細な分析とともに取り上げてまいります。