株式市場は、先週までの動きから地合いが変化しつつあります。これまでは、日経平均株価は史上最高値圏を維持しながらも小幅な調整にとどまっており、東証グロース市場250指数も高値圏での推移を続けていました。しかし、今週に入ってからは、FRBクック総裁の解任報道や為替の変動など複数の外部要因が重なり、調整圧力が一段と強まっています。
特に25日(月)は、米国ジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長による「利下げ検討余地」に言及した発言を受け、米国株の上昇に連動して日経平均も一時的に反発しました。しかし、26日(火)にはトランプ大統領によるFRBクック総裁の解任報道が市場心理を冷やし、リスクオフムードが急速に広がっています。この結果、日経平均は約1%下落し、直近2週間の安値水準に沈んでいます。これを受けた為替市場では、一時的に円高が進んでおり、輸出関連株の重しとなっています。
今後のFRB関連イベントでは、クック総裁解任後の後任人事やFRBの独立性を巡る政治的動きが市場心理に大きな影響を与える可能性があります。金融政策の方向性に対する不透明感が強まると、株価のボラティリティ拡大につながります。
また、9月FOMCと政策金利見通しも重要です。9月のFOMCでは利下げの有無や政策方針が焦点です。ハト派姿勢が強まればリスクオンムードが戻る一方、タカ派寄りとなれば調整圧力が増す可能性があります。
加えて、海外投資家の動きにも変化が見られます。先週まで積極的な買い越し姿勢を示していた一部の海外勢が、FRBの独立性を巡る懸念を背景にポジションを縮小する動きを見せており、需給面でも上値を押さえる要因となっています。こうした背景から、市場ではリスク回避姿勢が強まり、短期的な資金はよりディフェンシブな銘柄や内需関連株にシフトする動きが強まっています。
※ 日経平均の日足
※ 東証グロース市場250の日足
テクニカル面では、日経平均株価にはすでに調整局面入りのサインが複数出ています。MACDはデッドクロスを形成し、ボリンジャーバンドも+1σを割り込み、25日移動平均線への接近が進んでいます。さらに、RSIは高水準から下落に転じ、過熱感が徐々に解消されつつあることを示しています。
一方、グロース250指数は高値圏で上値の重い状況が続いており、調整圧力は日経平均よりは弱めです。ただし、これはあくまで指数全体の動きであり、個別銘柄では下落が大きくなるケースも散見され、指数以上に調整感が強い場面も見受けられます。市場全体の地合いが悪化すれば、グロース市場も連動して調整圧力が強まる可能性があります。
目先では、25日移動平均線の攻防が重要な局面となります。具体的には、日経平均では約41822円、グロース250指数では約773ポイントが意識されるラインです。これらを明確に割り込むと、調整が加速する可能性が高いため、短期的な値動きや投資家心理の変化にも注目が集まります。特に、為替や海外要因が不安定な状況では、突発的なボラティリティ拡大にも備える必要があるでしょう。
現状は調整ムードが強まる流れではありますが、株式市場の特性として、上昇が続いた後に調整が入るのは自然な動きといえます。特に、4月以降は明確な調整らしい動きが無かったことを踏まえると、目先で調整入りしたとしても適切な値動きの一環と考えています。