トランプ発言で市場急反転、3連休中の乱高下が示す“恐怖と安堵”、高市トレード巻き戻しとTACO相場の行方

個別株投資では、景気や経済、政治、為替、金融政策など、マーケット全体の動向を把握することが不可欠です。これらの要因は相互に影響し合い、投資家心理や短期マネーの流れに影響を与えています。投資機会を活かすためには、こうした外部環境や市場心理をしっかりと理解することが、物色トレンドを見極めるうえで非常に重要です。

 

10月10日から13日にかけての連休中、株式市場は急変動を見せました。日経平均先物はおよそ3,000円超の値幅で乱高下し、世界市場ではリスクオフとリスクオンが入り混じる売り買いが交錯する展開が続きました。

10日日中には日経平均先物が48,000円台前半で推移していたものが、米国時間で45,180円まで急落し、11日の米国市場は記録的な下落を記録しました。しかし、13日にトランプ大統領がSNS上で対中発言を軟化させると、市場は急速に反発し、14日朝には日経平均先物が47,700円前後まで回復。象徴的な“TACO(Trump Always Chickens Out)”の展開となりました。

 

今回の乱高下の背景には、米中の貿易摩擦再燃があります。中国は10日にレアアース輸出規制を発表し、トランプ大統領は中国製品に対し最大100%の関税を課す可能性を示唆しました。これを受けて11日の米国市場は大幅下落となりましたが、13日にはトランプ大統領が「中国との交渉に前向きな姿勢」を示す発言を行い、強硬姿勢から一転して軟化。これがTACOパターンの典型的な反転材料となりました。

 

一方、日本国内では、自民・公明の連立解消が報じられたことで、高市政権関連銘柄を中心に形成されていた「高市トレード」が巻き戻されました。政策期待で買われていた銘柄群が一時的に調整し、国内要因と海外要因が重なって投資家心理を冷やしました。ただし、3連休明けの14日朝には先物市場が持ち直しを見せ、過度な悲観は後退しています。

今後の展望としては、今回の動きを通じて市場が改めて“トランプリスク”と“米中リスク”を織り込み始めた点が注目すべき要素です。TACO現象による短期的な安心感は一服するものの、政策の不確実性が中期的なボラティリティ要因となるでしょう。日本市場では、高市トレードの巻き戻しが一巡すれば、政治リスクを意識しながらもテーマ株やAI関連など成長セクターへの資金シフトが再開する可能性があります。短期的には変動の大きい展開が続くものの、中期的には押し目形成を経て再び上昇トレンドに戻るシナリオも見え始めています。