住友ファーマ(4506)、決算サプライズで市場再評価、成長シナリオを再検証

 

住友ファーマ(4506)
2025年11月7日の終値は2142円(-59円)となっています

今週の株価は、10月末の決算発表をきっかけに11月4日には前日比+23.7%のストップ高で取引を終えており、その後も高値圏で推移しています。8月時点で1,500円台だった株価は一時2,200円台を試す場面があり、市場の注目を再び集めています。前回の記事で触れた「再評価フェーズ」から、現在は「業績サプライズによる評価拡大フェーズ」へと進んだ形です。

~前回の記事~
再評価進む住友ファーマ(4506)、株価2倍の先にある成長戦略とは?

 

今回の決算では、北米3製品(オルゴビクス、ジェムテサ、マイフェンブリー)が想定を上回る売上を記録し、通期利益予想を大幅に上方修正しました。特にオルゴビクスは通期売上見通しが10億ドルを超える水準に引き上げられ、米国での売上は前年実績比で+87%増($544M→$1,020M見通し)と急拡大しました。さらにアジア事業の一部譲渡益など一時的な利益も寄与し、最終利益は従来予想の約2.3倍に増額されています。これにより、赤字体質からの脱却が明確となり、業績面での評価が一気に進んだといえます。

ただし、今回の上昇相場に特定のテーマ性があるわけではありません。再生医療やAI創薬といった中長期テーマよりも、実績業績の改善に対する短期資金の流入が中心であり、いわば「業績リバリュー型の上昇」といえます。需給面では空売りの買い戻しも重なり、イベントドリブンの典型的な動きとなりました。今後は、こうした一過性の反応が落ち着き、ファンダメンタルズの持続性を市場が検証する段階に移るとみられます。

 

※ 住友ファーマ(4506)の日足

 

テクニカル面では、2,000円台前半に新たな出来高帯が形成されつつあり、この水準を保てるかが当面の焦点です。目安として、2,000円を維持できれば上昇トレンド継続、一方で1,900円を割り込むと短期的な調整局面入りと判断されます。逆に、2,250円を明確に上抜ければ再び強気トレンドに転じる可能性が高く、年末にかけてさらに上値を追う展開も視野に入ります。

物色の焦点は引き続き米国3製品の成長にありますが、伸び率にはばらつきが見られます。オルゴビクスとジェムテサは堅調な一方、マイフェンブリーは概ね横ばい、アプティオムは減収と製品間で差があります。来期の収益見通しが次の注目材料となるでしょう。再生医療やがん領域などの中長期パイプラインは開発段階にあり、収益化には時間を要する見込みです。したがって現時点では、テーマ性よりも実績業績が株価を支える構図と考えられます。

総じて、現局面では上昇トレンドに沿った対応が有効ですが、業績の一時要因を見極めながら2,000円を軸に推移を見守る展開が続きそうです。短期的な過熱感が和らいでも北米事業の成長が維持される限り、再評価余地は残されています。中長期的には、再生医療や中枢神経領域の開発進展が次の成長ドライバーとして期待されます。

 

 

弊社では、個別材料株を取り巻く多様な市場環境を踏まえ、今後の相場展開において有望な短期投資チャンスを的確に捉えることを目指しています。収益機会を最大限に活かすべく、すでに今後急騰が見込まれる銘柄を複数選定し、継続的に動向を注視しています。

また、これまで物色の中心となっていた銘柄とは異なる、新たなテーマや資金の流れに沿った銘柄群が台頭してくる展開も十分に想定されます。こうした短期物色に適した注目銘柄については、今後も弊社の有料レポートにて、詳細な分析とともに取り上げてまいります。

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