今週の東京株式市場は参院選控え膠着感も底堅さ維持、グロース株は逆風・選別色強まる

個別株投資では、景気や経済、政治、為替、金融政策など、マーケット全体の動向を把握することが不可欠です。これらの要因は相互に影響し合い、投資家心理や短期マネーの流れに影響を与えています。投資機会を活かすためには、こうした外部環境や市場心理をしっかりと理解することが、物色トレンドを見極めるうえで非常に重要です。

 

 

今週(7月14日~18日)の東京株式市場は、参院選を控えた政治的不透明感や海外市場の影響から、方向感の乏しい展開となりました。日経平均株価は39,400円台から40,000円手前で推移し、週末18日は39,819円で取引を終えました。

米国市場では経済指標の一部が市場予想を上回ったことなどを背景に、株価は堅調に上昇しました。S&P500やナスダック総合指数は最高値を更新する場面があり、投資家のリスク選好姿勢を支えました。こうした海外市場の堅調な動きは、日本株にとっても一定の支援材料となりましたが、国内の政治リスクが上値を抑える構図となりました。

 

※ 日経平均に日足

 

今週のマーケットに最も大きな影響を与えたのは、20日に控えた参議院選挙です。与党が上院での過半数を失う可能性が報じられたことで、政権運営の不透明さが意識され、投資家のリスク回避姿勢が強まりました。

一方で、現在の石破政権に対して否定的な見方も根強く、政権支持率の低下や選挙での大敗がむしろ好材料と捉えられる場面も見られました。週末の参院選についても、自民党の過半数割れが既に織り込み済みとの見方が広がっており、実際、日経平均は自民党の苦戦が予想される中でも下落せず、むしろ底堅い推移を見せました。一部の投資家の間では、石破政権の退陣が現実味を帯びることをポジティブなシナリオと捉える見方もあります。

 

※ 東証グロース市場250の日足

 

また、東証グロース市場では、今週を通じて軟調な展開が目立ちました。特に週前半にはグロース250指数が大きく下落し、主力の成長株に売りが波及しました。背景には、5月以降の急速な上昇でバリュエーションが割高と意識されていたことに加え、金利上昇局面では将来利益を織り込むグロース株が調整の対象になりやすいという構造的な要因があります。

さらに、為替市場では円安が進行しており、輸出関連やバリュー株への関心が高まる一方で、グロース株には逆風となっています。投資家のリスク回避姿勢が高まる中で、短期資金が主力グロース銘柄から引き上げられる動きも見られ、全体として銘柄選別の難易度が上がってきている印象です。

 

東証が毎週公表している「投資部門別売買動向」によると、2025年4月第1週以降、海外投資家は日本株を概ね買い越しており、この傾向は6月後半まで継続していました。外国人投資家の中長期的な日本株への投資意欲は依然として強く、企業業績や世界的な株高基調が支えとなっています。

ただし、7月に入り週単位で売り越しとなる週も見られ、特に7月第2週(8日〜12日)には海外勢の売り越しが報告されました。これは、参院選による政局不安や、円安進行による為替リスクへの警戒感が一因とみられています。こうした短期的な動きにより、需給は不安定となり、相場の方向感も掴みにくくなっています。

 

また、市場に大きな影響を与える金融政策イベントは今月末のFOMCまで予定されていないため、今週の相場では金利関連の話題は目立たず、代わりに政治情勢や為替動向、米国経済指標などが主要な相場材料となりました。

総じて、今週の東京市場は選挙前の様子見ムードが色濃く、外部環境に支えられながらも内需株や材料株に選別物色が入りました。来週は参院選の結果と、それに続く政策運営の見通しが、改めて相場の方向性を決定づける鍵となりそうです。