日経平均は史上高値、取り残されるグロース市場

個別株投資は、広大な金融市場の中でも局地戦です。投資機会を活かすためには、市場全体の動きやマネーの流れを把握しておくことが、個別株物色においても欠かせません。

 

東京株式市場では、半導体やAI関連を中心とする大型株が上昇を牽引し、海外投資家の買い戻しも加わって日経平均は記録的な水準に達しました。その一方で、東証グロース市場250指数(以下、グロース250)は続落し、終値703.43(前日比-2.62%)と大幅に下落しました。市場全体の強さとは対照的に、新興株市場では個人投資家の資金が抜ける動きが目立っています。

 

※ グロース250指数の日足

 

グロース250のテクニカル面を見ると、下落する25日・75日移動平均線下での推移が続いており、きょうは200日移動平均線も割り込みました。トレンドは明確な下降基調にあり、当面は下げ幅を拡大する展開が予想されます。現在は685〜675ポイント付近が下値の目処として意識され、短期的な下振れリスクが高まっています。

一方で、RSI(14)は37前後と売られ過ぎ圏に近く、ボリンジャーバンドの下限を推移している点から、テクニカル的には反発余地も残ります。MACDはゼロライン下で推移し、モメンタムの弱さが続いていますが、下落トレンドが一巡すれば戻りを試す可能性もあるでしょう。

なお、グロース250は8月19日に年初来高値803ポイントを付けて以降、2か月以上下落が続いています。下げ止まりの兆しがうかがえる一方で、下落局面の終盤では下げ幅が拡大する傾向もあり、反発へ向かう転換点を探る段階にあります。

 

一方で、東証スタンダード市場も軟調です。日経平均の上昇に資金が集中する中、スタンダード・グロース両市場では中小型株の流動性が低下し、信用需給も悪化傾向にあります。特に決算を控えた銘柄では、個人投資家による手仕舞い売りが増え、上値の重さが際立っています。市場心理としては、「安心感のある大型株」「業績が安定した企業」へ資金が移動しており、選別の流れが鮮明です。

ただ、グロース市場の悲観ムードはやや行き過ぎています。多くの銘柄が下値目処とされる水準まで調整しており、テクニカル的にも反発の余地が広がりつつあります。11月上旬から始まる決算シーズンを通過すれば、業績の明暗が明確となり、テーマ性を持つ成長企業に再び短期資金が戻る可能性があります。特にAI関連、宇宙・防衛、再生可能エネルギーといった政策テーマに沿う銘柄には再評価の余地が残されています。

 

今後の見通しとしては、日経平均主導の上昇トレンドが当面続く一方で、過熱感の高まりに伴い大型株には利益確定売りが入る局面も想定されます。その際、資金が中小型株や新興市場に回帰し、循環物色の流れが生まれる可能性があります。グロース250は685〜675ポイントを下値支持とした持ち合いを形成しつつ、11月中旬以降に反発へ転じる展開が期待されます。短期的には慎重な姿勢が求められますが、年末から来年初にかけては、業績とテーマ性を兼ね備えた中小型株が再び注目される局面を迎えると考えられます。